鴨長明のこと

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鴨長明

方丈記の作者

その生涯を書いた小説

「方丈の弧月」

 

もう少しで読み終わります。

 

その感想であります。

 

鴨長明は、和歌と、琵琶の名人であった。

鴨長明は、偏屈で狷介固陋、頑迷で疑い深く、扱いづらい。

身体も強くなく、人と交わうことが苦手、好きなこと以外はしたくない。

始末に負えない人物であって、大事な時に、意固地で、人生を棒に振る、

何回も、

だ。

 

手先は器用なのだが、

生き方がすこぶる不器用。

 

鴨長明は、下鴨社の、名門神官家の御曹司として生を受けた。

糺の森が、幼き長明の生きる場だった。

 

糺の森は、いわば、大自然

その大自然のなかに、幼き長明(ながあきら)は、在った。

 

以下引用

 だとしたら、朝の光は繭を破る矢であるのかもしれない。

 わたしはなぜだか、その瞬間が、たまらなく好きだったのだ。繭に包まれた蚕のような自分や、他の生きものたち、人間や獣や鳥たちが息を吹き返し、外界とつながる。

そんな気がして、わが身の血という血がいっせいに勢いよく流れ出し、全身を駆けめぐるような、なんともいえぬ爽快な気分になる。そのときだけは、胸の奥から知らず知らず言葉が溢れ出してくるように思えるのだった。

以上引用終わり。

 

大災害が、無情にも、次々襲った、平安末期、

そんな時代にあって、鴨長明は、結果、生きたいように生きた。

 

鴨長明の生涯は、同じ作者が描いた、空也上人のように、

利他的なものでもなかった、尊いものでもなかった、と思う。

でも、すごく人間臭い、とっても人間臭い、

臭すぎて大好き、かも。

臭すぎるのに、臭くないのは、

鴨長明の身体には、糺の森大自然が、そのままあったから。

 

大自然の神が、謀略深慮うず巻く、人間世界に、

降りたったら、おもしれえだろうなぁ、

きっと、この男鴨長明は、そんな神の一人だったのかも。

 

そんな妄想を抱かせてくれる小説です。

 

 

もう少しで読み終わります。