「白鵬の脳内理論」(大庭大業 著)を読んでよかった。

f:id:gugugudou:20210515140628j:plain

ダヴァジャルガル少年


ムンフバト・ダヴァジャルガル

俺の本名だけど、今はこの世にない名前なんだ(本人談)

「俺」とは第69代横綱白鵬関のことである。(令和元年9月 日本国籍取得)

 

白鵬は15歳の時「力士になりたい」という志を胸に

モンゴルから若者六人と一緒に日本にやってきた、という。

当時の体重は60㎏、相撲部屋からのスカウトを待つも、なかなか声がかからない。

一緒に来た仲間が一人、また一人とスカウトされていく、寂しさと虚しさは募るばかり、

いよいよ明日モンゴルに帰らなければならないという、そんな時に手を差し伸べてくれたのが、宮城野親方だった。

 

「今日も親方のおかげで土俵に上がれます。あリがとうございます。」

 

白鵬は、初土俵を踏んで以来欠かさず、

心の中で感謝の言葉を呟いてから土俵に上がるという。

 

以上のことは、

f:id:gugugudou:20210515140549j:plain


大庭大業 著「白鵬の脳内理論」を読んで知った。

 

大庭大業さんは

平成24年から白鵬のトレーナーをしている方。

横綱の一番身近にいる人物、と言って良い。

そんな方が、横綱のいわゆる裏事情を書いている。

読んでみた。

 

数々の記録を打ち立ててきた大横綱

称賛の声とともに、

「厳しすぎる」

「勝てばいいのか」

横綱としていかがなものか」

そういう批判がある。

そして、今現在夏場所を休場中、

来場所に進退を賭ける、という。

 

相撲は日本の国技である。

神事でもある。

その頂点に立ち、のみならず、

巨人、大鵬、卵焼きの大鵬関の優勝回数を追い抜いた大横綱

白鵬

 

白鵬を取り巻く状況がずっと気になっていた。

 

例えば

・・・・・・・・

今度こそ優勝、横綱昇進という稀勢の里関ファンの機体が日に日に高まりました。

そして、13日目、二人が全勝同士で激突する大一番を迎えました。

朝、稽古を終えて横綱と二人きりになった時、その表情を見た私は驚きました。

なんとも不安そうな、迷いに満ちた顔をしていたのです。あんな表情を、それまでも、それからも、私は見たことがありません。

(中略)

・・・のめった稀勢の里関の頭を右手で抑えてねじ伏せ、大熱戦を制しました。

その瞬間、国技館を包んでいた歓声はため息に変わりました。(白鵬の脳内理論より)

(私も大きなため息をテレビの前でついた1人でした)

 

大鵬の優勝回数に追いつき、追い越した時期もそうだったが、

この時もダヴァジャルガルは苦悩の只中にあったという。

「強い人っていないんだよ。『人生って、戦う敵より大変だ』というね。生きていくっていうのは、戦う敵よりも大変だという意味なんでしょうね。・・・・・目に見えないから」

メディアから非難されて苦悩している時期に、あるテレビ取材の際に語った言葉だという。

 

また白鵬は、相撲をやめようか悩んでいた若手力士に

「力士は誇り、日本の宝なんだよ」と、諭したという。

 

私が、大庭さんのこの本を読んでよかったことは、

白鵬関は誇り、日本の宝」

と思えたことだ。

 

来場所の白鵬関をしっかり観たい。