涙を見せろ、俺が喰ってやる
俺、そいつの前で、そう言いたい、
はぁ？
そいつって、どいつ、だ。
だぁかぁらぁ、
もし、俺に彼女ができたとしたら、だよ、
いや、そういうふうに、言うと思うんだよ。
(かなりできあがってきている)
わかった、わかった。
以下、わかった内容です。
……………………
そう言っている場面は、金輪際来ないだろう、
こいつと付き合って、まぁ、同情っていうか、
おんなじだな、と感じることが多かったので、
一緒に飲んできたが、
この日ほど、この男の行く末を応援したいと思ったことはなかったな。
…………………
バカナル(バカなナルシスト)はさらに続ける。
おれ、健気で、悲しい女が好きなんだ。
不幸でさ、でも、健気に生きようとしている、
そんでもさ、限界があるでしょ、そん時に、
おれと出会う。
お互い一瞬でわかると思う。
で、一緒に銭湯に行くんだよ。
なに飛躍してんだよ！
ばかやろう、神田川の世界じゃないんだよ！
ずっとこの男は妄想の世界で生きていくのか、
この男の悲しさを、俺は怒りも、笑いもできなかった。
そういう相手、いるといいだろうな。
うん、俺、
人に優しくしたいんだ。
飲んだ、飲んだ、バカな飲んだくれは、
飲むしかねぇ。
わかった、わかった、
その子が可愛い子だったらいいな、見てくれは大事だぞ、
ばかやろう、お前は何にもわかってないぞぉ！
俺が見てくれだけで選ぶと思っているのかぁぁぁぁ！
だめだ、こうなったこいつは、寝るだけだ。
まだみぬパートナーを夢見るのはこいつと同じ。
涙を見せろ、俺が喰ってやる、か。
案外、面白えじゃないか。
そんな強さがこいつは欲しいと思っているのか、、、。
……………
青春の頃のことでございます。
あいつとは、ずっと会ってはいませんが、
喰える男になったのでしょうか。
あたしはさらに大酒飲みにはなりましたが。
また、あいとうございます、お互い還暦間近でございますから。
