特別支援学校高等部の卒業生が社会に出て働く意味

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流れが続いていきますように。


まだまだコロナ、である。

学校から外に出ることを自粛している。

昨年度の手帳を見ると、この時期、毎日のように出張であった。

生徒の実習先への訪問(打ち合わせ、契約、挨拶、中間指導、反省会等々)

市の会議、地区の会議、県の会議もたくさんあった。

でもコロナである。テレワーク(テレフォンワーク)をしている。

「○○学校の職員の飲んだくれと申します。」

「卒業生の○○がお世話になっております。」

「○○様、いらっしゃいますか?」

担当の方と、話をする。

「ご無沙汰いたしております。」

「本来ならば、お伺いいたしましてお話を聞かせていただく所でございますが、

こんな状況ですので、電話にて失礼いたします。○○さん、問題なくやっていますでしょうか?」

すると、うれしいお返事をたくさんもらえた。

 

「みんなにかわいがられて、元気にやっていますよ。」

「作業場の主と呼ばれています(笑)複雑ではない仕事だったら作業スピードもずいぶん早くなったし、食事もみんなと一緒に楽しくしています。」

「問題なく頑張っていますよ。」等々

うれしいお言葉をたくさんいただくことができた。

 

これはもちろん本人の頑張りもあるのだが、

なにより、職場の方たちが、好意的に見てくださっているからなのだ。

 

以前にも書いたが、

高等部の生徒は合計4回の実習を経て、就労する。

2年生の時は体験の意味合いが強い実習。

3年になると、そこで働きたい!という事業所を選んで、実習をする。

面接、採用試験のようなもの。

だから実習はとても大切なのだが、

実習を受け入れてくださる事業所は実はあまり多くはない。

 

障害者雇用ということが未知なのだ。

 

どんな仕事ができるの?といった疑問や、

職場のメンバーとうまくやっていけるのか?という不安。

また、「急に暴れたりしないんですか?」

「電車の中でずっと独り言を言っている人、見かけたことがあるけど、それじゃ仕事にならないよ。」

そういう不安を抱かれている事業所の方も少なくない。

 

「御社の業務内容を見学させていただき、それを十分本人に伝え、御社の仕事をしたいという意欲のある生徒の実習をお願いしています。」

丁寧に、繰り返し、説明をすることが大事になってくる。

 

それでも、本人を見ないと、仕事ぶりを見ないと、不安をぬぐうことができない。

でも、一緒に仕事をすることで、職場の方も生徒のよさを理解してくださる。

昼食時に一緒に食べることで、

仕事時とは違った人柄の一端を理解してもらうことができる。

 

一緒に過ごすことで、障がいの垣根は取り払われていく。

いっぺんに、たくさんの、は学校工場のお題目だ(いずれそのうち説明します)。

いっぺんにたくさんの垣根が取り払われることはない。

あっちの場所で、こっちで、少しずつ、少しずつ、垣根はなくなる。

それがいかに微々たるものだったとしても、

確実に広がっていく。

 

そうした意味でも、

特別支援学校の生徒が卒業後、

社会に出て働くということは、

とても大きな意味がある。