特別支援学校の販売会

 

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自分たちで作ったものを、自分たちで売る。


作業学習というのをご存じだろうか。

特別支援学校の高等部では作業学習を重んじている。

個人的には教養を身につけるために、

教科学習をもう少し増やしたらよいと思うのだが、

この作業学習を繰り返すことで、「働くということ」の基本が身につくのも確かだ。

卒業後の仕事は、様々だが、ほとんどが繰り返しの作業である。

同じことを毎日繰り返しやる。

飽きずにやれることが、まず大事。

もちろん作業学習では、飽きさせないための工夫があり、その人の特性に応じた対応もしている。

1年生の時よりも、2年生、そして3年生になると、多くの生徒はかなりの長い時間落ち着いて仕事に取り組むようになってくる。

でもそれは単なる工夫や「慣れ」のためではないのだ。

 

作業学習の目標は、ものを生産すること自体ではなく、

作業に取り組む姿勢を育てることだと、私は考えてやってきた。

作業学習で培ったスキルが、卒業後の仕事で直接役立つことはほとんどない。

むしろ、挨拶だとか、報告だとか、そういったものが実際の仕事に就いた時に役立つことになる。

 

長年、多くの生徒と一緒に作業学習に取り組んできて、確信していることがある。

みんな人の役に立ちたいという思いがあるのだ。

 

 

販売会というものがある。

販売会は、近くのショッピングセンター、学校の文化祭、市役所等で行われる。

それまで作業学習の時間に、一生懸命に作ってきた製品を、販売するのだ。

お客さんのほとんどは、保護者の方だが、近隣の方も結構買いに来てくれる。

販売会の日は、生徒も教師も張り切る。

生徒も教師も「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました!」と声を張り上げ、

笑顔でお客さんを迎える。

作業で作った製品は決して安っぽいものではなく、質が高いものが多い。

だからお客さんもたくさん買ってくれる。

自分が作ったものを喜んで買ってくれる人がいる。

それがうれしいのだ。

笑顔あふれる、楽しい一日が販売会の日なのだ。

生徒はそうやって人のためになるということを学び、作業学習への意欲を高めることができるのだ。

 

しかし、このコロナである。

今の段階で、勤務校の販売会は中止の予定だ。

多分他の学校も同様だろう。

これは思っている以上に、生徒にとって大変なことなのだ。

どうにかして販売会ができないものだろうか。

 

今後の感染状況にもよるとは思うが、

どうか、

生徒の「人の役に立ちたい」という思いを形としてあらわす場がありますように。